知財を産む魔法の言葉(11)<視点・視座・視野 January 06, 2007
知財を産む魔法の言葉(11)<視点・視座・視野 January 06, 2007
★視点を変える
上から、下から、横から、回す、逆さにする
★視座を変える
立場を変える。例えば、ピンチに置かれたのではなくチャンスの場面にいると考える。
★視野を広げる
○離れて見る、外国から見る
×木を見て森を見ず、井の中の蛙
これは、妹尾堅一郎:東京大学先端科学技術センター特任教授もよく言われることであるが、発明把握の場面でもよく用いられることである。
視点・視座・視野ということを考慮して多方面から多面的に物事を見て、分析する姿勢が知財創出の場面では重要である。
視点を変える、という点につきあるエピソードを紹介しよう。
・・ M氏は現役を退いた元実業家。現在は、ボランティアで経営コンサルタントをしている。そのM氏の若き日の話。
戦後間もない学生時代。学費を稼ぐためやったアルバイトが、アイスキャンディ売り。一箱100本+10本を売る。10本はアルバイトへのおまけ。100本売った売り上げの50%と、残りの10本の売り上げ丸ごとがアルバイト料。
通常のアルバイトは、100本受け取るとそのまま、町へ出る。アイスキャンディだから、日中の暑くなる時間まではなかなか売れない。M氏は考えた。近くの工場の労働組合の「おばちゃん」に掛け合い、「お昼に売ってくれませんか」と。M氏の取り分のいくぶんかをおばちゃんへ分け、10本はあげてしまう。これが大当たり。M氏は、午前中に売り切ってしまう。しかも、複数箇所に掛け合った。M氏は、この稼ぎで、大学の学費をすべて賄ったとのこと。
何を変えたか・・・ユーザを一般の購買層ではなく、労働組合のおばちゃんに目をつけ、おばちゃんをユーザとしてターゲットにした観点(視点)の差が他の同業アルバイトと全く違ったのである。そういう意味では、視野を広げたとも言える。
やはり、人のやることと同じことをまともにやればいいというものではない。どこに価値的な手法があるかを見極める能力が必要とされる。